消費科学研究所
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品質試験でブーツの色落ちトラブルを防ぎましょう

機能性評価

2019年1月25日

寒さがピークを迎えるこの時期。当研究所では、「ブーツから色が落ちた」というお申出をよくいただくようになります。今回は、ブーツからの色落ち事例とその対応策として実施している品質試験をご紹介します。

 

1.ブーツの色落ち事例

ロングブーツからの色落ちで特に多いのが、ブーツインしたパンツへの色落ちです。これは淡色のパンツを濃色のブーツの中に入れて着用した際によく起こります。ロングブーツの場合、内張り地に天然皮革が使用されていると、広範囲が汚染されるために目立ちやすいです【ブーツA】。また、内張り地が色落ちしなくても、履き口で天然皮革の甲革が内側に1cm程折り返されている場合、履き口付近のみ色落ちすることがあります。他にも起毛革(スエード、ヌバック、ベロア等)を使用している場合も色落ちしやすいです【ブーツB】。この場合は、起毛された革線維が着用時の摩擦で擦り切れて脱落し、その欠片が服や靴下などに付着することで起こります。

 

【ブーツA】
ニーハイブーツの履き口を折り返したもの(甲革:起毛革(スエード)、内張り地:銀付き革及び合成皮革)

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【ブーツB】
ニーハイブーツの履き口を上から撮影したもの(甲革:起毛革(スエード)、内張り地:起毛素材及びメッシュ地)

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いずれも、着用中同じ箇所が擦られ続けることで汚染が濃くなりやすいです。また、汚染品も家での洗濯などでは完全に除去できない場合が多いため、お申出につながりやすくなっています。品質トラブルやクレームを避けるため、事前に品質試験を行いましょう。

 

2.靴の染色堅ろう度(色落ち)を試験

■染色堅ろう度(摩擦)試験
JIS K6547 革の染色摩擦堅ろう度試験方法 (摩擦試験機Ⅰ形)による

 

<試験方法>
約900gの荷重で試料片上の約10cm間を10往復摩擦します。白布は綿を使用し、乾燥/汗(アルカリ)の2条件で試験を行います。その結果生じる白布への汚染の程度を、JIS規格に基づき、汚染用グレースケールと比較して汚染等級を判定します。

 
●摩擦試験機
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●汚染用グレースケール
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靴に関わる基準としては、ISO規格、JIS規格などがあります。当研究所ではこれらの基準に則り、靴に関連したさまざまな試験を行い、総合的な品質評価を行っています。お気軽にご相談ください。