消費科学研究所
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グリーンウォッシュに注意しましょう

衣料・繊維製品

2023年11月17日

昨今はESGやSDGsへの関心の高まりから、環境に配慮された商品が多くでています。

特にZ世代は環境への意識が高く、環境配慮型の商品を積極的に購入していると言われています。

今や「環境に優しい」は立派な謳い文句になっているということです。

一方で、「グリーンウォッシュ」というのが問題視されているのをご存知でしょうか?

(1)「グリーウォッシュ」とは?

環境に優しいイメージの言葉である「グリーン」とごまかしやうわべだけといった意味である「ホワイトウォッシュ」を合わせた言葉です。

商品やサービス等について本当は環境に配慮していないのに関わらず、あたかも配慮したようにパッケージや各種媒体等で謳うことです。

(2)海外のグリーンウォッシュの事例

1980年台半ばには欧米で環境活動家の間でグリーンウォッシュという言葉が使われ始めたそうです。

日本よりも早くから問題視されています。

  • アパレルのグリーンウォッシュ
    2022年ノルウェーのアウトドアブランドが扱うオーガニックコットンのTシャツに対して、通常のコットンに対して温室効果ガスや石油資源、水使用量等が少ないとして具体的なデータを示していました。
    これに対してノルウェーの消費者庁は一般的なオーガニックコットン繊維のデータであり、製品によるものではなく消費者の誤解を招くとして、マーケティングの変更および商品ページの消去を求めました。

  • ストローのグリーンウォッシュ
    とある有名なファストフード店は2018年、イギリスとアイルランドで展開する店舗でプラスチック製ストローの使用をやめ、「100%リサイクル可能」と謳って紙製のストローに切り替えました。
    実際は紙の強度を高めるためにストローが分厚くなり、リサイクルできずに廃棄さていたことが明るみになり、大きな批判を受けました。

(3)日本国内でのグリーンウォッシュの事例

日本国内でも景品表示法の観点からグリーンウォッシュが問題あるとして、課徴金が課される事例が発生しています。

  • 疑似餌のグリーンウォッシュ
    日本の釣り具メーカーが販売している疑似餌のパッケージには水中の微生物によって生分解するかのような表示がされていました。
    しかし、実際はそれら生分解性の裏付けとなる合理的な根拠が無かったとして、課徴金が課されることになりました。

(4)グリーンウォッシュを防ぐには?

上でご説明したように、今や「環境に優しい」は謳い文句になるため、その内容にうそやごまかしがあると、景品表示法等の法律に抵触することや企業イメージの低下を招く恐れがあります。

アメリカの安全機関(Underwriters Laboratories Limited Liability Company)では「グリーンウォッシュの7つの罪」として、企業が行っている可能性のある、7種のグリーンウォッシュについて説明しています。

企業側として、この7つの罪に触れていないか注意しましょう。

1.トレードオフ隠蔽の罪
一部の環境に配慮している点のみアピールして、その他の部分で環境に負荷を与えている部分があっても隠している。
2.証拠がないことの罪
どのように環境に配慮しているか、十分に証明していないこと。
3.あいまいさの罪
「環境にやさしい」「サステナブル」等といった曖昧な表現で消費者の誤解を招くこと。
4.誤ったラベル表示の罪
実際には存在しない第三者機関の認証ラベルなどを貼る。
5.無関係の罪
真実ではあっても、消費者が求めている環境配慮とはズレた的外れな部分で、エコをアピールすること。
6.「かろうじて良い」罪
その製品カテゴリーの中では「良い」とされる部分をアピールし、より大きな環境負荷、問題から消費者の注意をそらすこと
7.うそをつく罪
うそをついて、消費者をだますこと。