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薬用美白ケアライン化粧品の広告表現の注意点
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2025年7月4日
スキンケア商品では、洗顔料、化粧水、乳液などを同じシリーズ(いわゆる「ライン使い」)で展開することがよくありますよね。使用感が統一されていることや、各商品が互いを補うように設計されていることで、消費者の満足感が高まり、ブランドの魅力を効果的にアピールすることができます。
今回は夏に需要が高まる薬用美白ケアライン化粧品を想定した下記広告例をもとに、注意点を解説していきます。

広告表現上、気になる表現はいくつかありますが、今回は以下2点のポイントを解説いたします。
- 承認を受けた効果を正確に表現する
- 化粧品と医薬部外品の効能効果を混同させない
1. 承認を受けた効果を正確に表現する
「美白」効果は薬機法で定義づけられた効能効果ではないため、
“承認を受けた効能効果「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」、又は「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」を記載する”
必要があり、「美白」効果だけを表現することはできません。
引用元:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」E15.1
加えてこれら承認を受けた効能効果はしばり表現※であり、今回の広告例のように単に「しみ、そばかすを防ぐ」だけで表現することはできません。
※:承認された効能効果等に関して定められた一定の条件を伴う表現のこと。原則しばり表現は省略することなく正確に付記すること。
“承認された効能効果が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」の場合は「メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」、
承認された効能効果が「日やけによるしみ、そばかすを防ぐ」の場合は「メラニンの生成を抑え、日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ」を用いる”
とされているため、そのように記載する必要があります。
引用元:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」E15.1
また、あくまで「しみ、そばかすを防ぐ」効果であるため、「夏のシミに対処する」のようなシミを改善するような効果や、「白肌」といった肌色を変えるような効果は、承認範囲を逸脱した効果であるため、お使いいただけません。
2. 化粧品と医薬部外品の効能効果を混同させない
医薬部外品と化粧品を同一紙面等で広告する場合、
“単一の広告文における効能効果の表現を共通する効能効果にするか、又はそれぞれの個別の効能効果が明確に区分され、誤認を招くおそれがないようにすること。(略)
医薬部外品については「医薬部外品」であることを明記すること(略)”
に注意する必要があります。
引用:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン」F3.7
今回の広告例「ショーカケンクリアシリーズ」において、化粧水・乳液は美白効果が謳われていて、かつ「薬用」と付記されていることから医薬部外品と読み取れますが、洗顔料はそのような記載は見受けられず、医薬部外品ではないようです。
「薬用美白*ライン」「美白*有効成分(○○)配合。(横に商品写真の掲載)」といった表現だけでは、紹介されているすべての商品が美白効果で承認を受けた医薬部外品であるかのように捉えられます。化粧品である洗顔料にも美白効果があるかのような誤認を与え、化粧品の効果の範囲を逸脱することとなり不適切です。
医薬部外品と化粧品の効果を明確に区別するため、以下のような対応が必要です。
「薬用美白*ライン」
⇒削除対応が必要です。
「美白*有効成分(○○)配合」
⇒「化粧水・乳液は美白*有効成分(○○)配合」と説明を加えてください。
「透明感のある」
⇒美白効果によるものと捉えられないよう、「うるおって透明感のある」など紹介されている3商品すべてに共通する効果によるものであることを説明するほうが分かりやすいです。
また、化粧水・乳液の商品名に「薬用」と付記されていますが、これだけでは化粧品と誤認を与える恐れがあるため、「医薬部外品」との明記が望ましいです。
今回の広告例の場合、商品紹介の下に「【医薬部外品】[販売名:○○(届出を行った販売名)]」と記載すると良いでしょう。
以上、薬用美白ケアライン化粧品の広告表現における注意点をご理解いただけましたでしょうか。
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