私たちの体には、侵入した細菌やウイルスなどの病原体を排除し、体を守る「免疫」という働きがあります。この免疫が、人体に無害な物質や微量の異物に過剰に反応することをアレルギー反応といいます。
アレルギー反応には、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、花粉症などがありますが、本来無害な食べ物に対して、過敏に反応することを「食物アレルギー」といいます。食物アレルギーは、皮膚のかゆみ、息切れや嘔吐など様々な症状を引き起こします。重篤な場合は、血圧低下や意識障害といったアナフィラキシーショックに陥り、死に至ることもあります。
食物アレルギーの原因となる食品は、乳幼児期は卵、乳、小麦の割合が高く、年齢が上がるにつれて甲殻類や果実類等が増えていく傾向にあります。現在の日本では、全人口の1~2%の方々が、何らかの食物アレルギーを持っているといわれており、その数は年々増加しています。
お客様を食物アレルギーの危険にさらさないためにも、飲食店や食品を取り扱うメーカーは、使用する食材に含まれているアレルギー物質を把握し、普段から食物アレルギー事故の予防対策を講じておきましょう。
●主な予防対策
これらの予防対策は、従業員全員に周知徹底することが大切です。お客様からの申し出があったにも関わらず、従業員間における情報伝達不足と、レシピの詳細が周知されていなかったことが原因で起こってしまった食物アレルギー事故の事例を1つご紹介します。
<事故例>
ランチセットを注文したお客様からごまアレルギーであると申し出があり、ホール担当者がごまを使用した小鉢の差し替えに対応した。しかし、ホール担当者が厨房担当者に「アレルギーがあるためメニューの差し替え要望を受けている」ことを明確に伝えておらず、厨房担当者は単なる好き嫌いでのメニュー差し替えと考えていた。差し替えメニューにごまは含まれていなかったが、他のメニューにもごまが使用されていることに気付かないままランチセットを提供し、お客様は食事後に喉と唇の腫れを訴えられた。(レシピの詳細はチーフのみが把握していた)
食物アレルギーは、1gに満たない微量なアレルギー物質を摂取したことでも引き起こされる恐ろしい疾患です。実際に、アレルギー物質であるピーナッツを他の食材と共通のミキサーで使用していて、ピーナッツ使用後のミキサーの洗浄が不十分であったため、微量に混入したピーナッツが原因でお客様がアレルギーを発症した事例があります。
食品を取り扱う側は、実際の事故事例などを通して食物アレルギーへの理解を深めるとともに、従業員全員で「お客様の命を預かっている」意識をもって、食物アレルギーへの体制を整えていきましょう。
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