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知らないと危険?黄色ブドウ球菌の正体と予防策!
食品
2025年6月20日
食中毒と聞くと、皆さんはどんな食中毒を思い浮かべますか?
「サルモネラ菌」「ノロウイルス」などが思い浮かぶかもしれませんが、
実は私たちの身近な場所に存在し、食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」も注意が必要です。
今回は最も身近ともいえる「黄色ブドウ球菌」の恐ろしさと、重要な対策についてお話しします。
<黄色ブドウ球菌とは?身近に潜む「やっかい者」>
黄色ブドウ球菌は私たちの鼻や喉、そして健康な人の皮膚や髪の毛にも存在しているごく身近な細菌
であり、特に傷口、手荒れ、ニキビなどに潜んでいます。
この細菌自体は熱に弱いですが、食品中で増殖する際に「エンテロトキシン」という毒素を産生
します。この毒素が原因となり、食中毒が引き起こされます。
この毒素の厄介な点は、非常に熱に強く通常の加熱調理では無毒化されないということです。
そのため、黄色ブドウ球菌を食品につけないこと、ふやさないことが重要です。
<黄色ブドウ球菌による食中毒の症状と潜伏期間>
黄色ブドウ球菌が産生した毒素を摂取してしまうと、平均1~6時間で吐き気、嘔吐、激しい腹痛や
下痢といった症状を引き起こします。
これらの症状は比較的短時間で回復することが多いですが、小さなお子さんや高齢者、免疫力の低い方
は重症化する可能性もあります。
<食中毒はどんな食品から発生しやすいのか?>
黄色ブドウ球菌は人の手から食品に付着することが多いため、おにぎり、サンド
イッチ、いなり寿司などといった食品が特に危険です。
2024年には、埼玉県で「おにぎり」、群馬県で「おはぎ」が原因となり、
黄色ブドウ球菌による食中毒事件が発生しました。
この食中毒により、埼玉県で14名、群馬県で36名の方が体調を崩しました。
どちらも人の手が直接触れる食品であり、適切な衛生管理が重要です。

■黄色ブドウ球菌食中毒の予防策
それでは、どうすればこのやっかいな黄色ブドウ球菌から身を守れるのでしょうか?
ポイントは、食中毒予防の3原則「つけない」「ふやさない」「やっつける」です!
1.徹底した手洗い(つけない!)
調理前、生肉や魚を扱った後、トイレの後など、こまめに液体石鹸で手を洗いましょう。
手洗い後は清潔なペーパータオルでしっかりと水気を取り、アルコールで消毒をして下さい。
手指に傷がある場合は調理を控える、もしくは清潔な手袋を着用しましょう。
2.食品の適切な管理(ふやさない!)
調理済みの食品は、できるだけ早く使い切るようにしましょう。
保存する場合は、粗熱をとってから清潔な容器に入れ 冷蔵庫で保管しましょう。
冷蔵庫でも菌は増殖するので、早めに消費することが肝心です。
特に夏場や室温が高い場所での食品の放置は厳禁です。
3.調理器具の衛生管理(やっつける!)
まな板、包丁などの調理器具は使用後によく洗い、熱湯や漂白剤の使用で殺菌を行う、
また、アルコール消毒を活用するなどして、常に清潔に保ちましょう。
<安全な食事を提供するために>
黄色ブドウ球菌は、私たちの身近に存在する厄介な菌ですが、正しい知識と
適切な対策を講じることで、食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。
「もしかしたら」という意識をもって、日々の調理や食品管理に取り組んで
行きましょう。
あなたのちょっとした注意がお客様を守ることにつながります。

<消費科学研究所では「衛生」に関する様々なお手伝いをいたします>
消費科学研究所では、黄色ブドウ球菌が調理者の手指や調理器具などに付着していないか確認する
拭き取り検査などの細菌検査だけでなく、厨房内の衛生状態を点検する衛生点検を行い、アドバイス
を行っています。
自社の厨房の衛生管理をより万全にしたいとお考えの際は、お気軽にお問い合わせください。
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