消費科学研究所では、さまざまな毛髪試験を実施し、ヘアケア製品の性能を評価しています。(①2015年10月ブログおよび②2016年10月ブログ参照)
今回は、それらの試験の中から、測定機を使用した「毛髪引張試験」について紹介します。
毛髪を引っ張った際の「引張強さ」および「伸び」を測定する試験です。毛髪物性に影響を与えやすいパーマ剤、シャンプー、コンディショナーなどのヘアケア製品で処理した毛髪についてこの試験を行い、引張強さ、伸びを測定、数値化して比較します。
毛髪1本を試験機にセットして一定速度で破断する(切れる)まで引っ張ります。そのときにかかる力と伸びを測定します。
通常、毛髪の試験は、未処理毛と試験品処理毛を比べるなど、複数の毛髪サンプルを比較して試験を行うことが多く、この毛髪引張試験もヘアケア製品1点だけでなく、比較対象として未処理の毛髪や、複数のヘアケア製品を用いて処理した毛髪を用いて試験を行います。また、毛髪が破断するまで引っ張るだけではなく、一定の長さに繰り返し引っ張った時の力を測定することもあります。
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●試験アニメーション
●結果データの解説
・力(縦軸):毛髪を引っ張ったときの力を表します。
・変位量(横軸):毛髪を引っ張った時の長さの変化を表します。
・降伏点:引っ張る際、この値を超えない範囲であれば、ほぼもとの長さに戻りますが、この範囲を超えて引っ張ると、もとの長さに戻らなくなります。ちなみに、健常な毛髪を頭から引き抜く際、大体これと同じくらいの力がかかっています。
・引張強さ:毛髪を引っ張り、破断するまでのうち最大の力。損傷を受けている毛髪は、健常な毛髪と比較して低くなります。
・破断点:毛髪を引っ張り、破断したときの力とその変位量を表します。
たとえば、パーマ剤を使用した毛髪は一般的に引っ張りに対して弱くなる傾向があります。そこで、複数のパーマ剤で処理した毛髪について比較を行い、より毛髪への影響が少ない製品の開発にお役立ていただけます。
また、あらかじめ脱色した毛髪(毛束)や、繰り返し洗浄してパサつかせた毛髪(毛束)を作って試験に用い、ヘアケア製剤の性能を精査することもできます。
消費科学研究所では、今回紹介した毛髪引張試験をはじめ毛髪表面の摩擦や毛髪の曲げ剛性を測定する機器、キューティクルを観察することができるSEM(電子顕微鏡)などを用いて、さまざまな見地から毛髪試験を実施しています。
ぜひお気軽にご相談ください。
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