消費科学研究所
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食品の異物混入対策には、衛生的な身だしなみの徹底が不可欠です。

衛生点検・HACCP

2016年2月19日

1.食品の異物混入事故に関する相談が増えています

食品の異物混入に関連した事件が、近年、数多く報道されています。
(独)国民生活センターによると、2009年度~2015年1月の累積相談件数は約16000件で、2014年度の相談分について異物の内容別にみると、虫(ゴキブリ、ハエ、その他)、金属片(針金、ステープラーの針など)、人の身体に係るもの(毛髪、体毛、歯、歯の詰め物、爪、つけ爪など)…などが多く報告されています。
また、釣り針、ガラス片、陶器片、カッター、刃物など、口に入ると危険なものが食品に混入していたという事例もあります。深刻な健康被害に及ぶ事故を防ぐためにも、食品を取り扱う事業所では、徹底した衛生管理が必要です。
 

2.不適切な身だしなみは異物混入につながります

食品を取り扱う従業員の身だしなみが悪いと、さまざまな異物混入を招く危険性があります。適切な身だしなみを徹底するとともに、作業着に付着した毛髪、ホコリ等の異物を除去するために、作業場に入る前にエアシャワーを浴びる、粘着ローラーで全身をくまなくローラーがけするなどの対策を行い、異物混入を未然に防ぎましょう。また、作業着のポケットに物を入れていると、落下して混入するおそれがあることを認識しましょう。
 

■不適切な身だしなみ等による異物混入事例

・毛髪、体毛
・爪、つけ爪
・糸、繊維など
・クリップ、ステープラーの針
・鉛筆の芯、ボールペンのキャップ
・装飾品(イヤリング、指輪など)

 

3.適切な身だしなみと、健康状態をチェック

食品を取り扱う事業所内では、適切な身だしなみを指導し、従業員全員が徹底厳守することが重要です。また、食品を介しての感染症拡大を予防するため、従業員の健康状態の管理は常に必要です。
 

①身だしなみをチェックする

 □手指に傷はない
 □爪は短く切り、マニキュアをしていない
 □清潔な作業着を着用している
 □帽子、マスク、使い捨て手袋を正しく着用している
 □指輪、時計、ピアス、イヤリング、ネックレスは外している
 

②健康状態をチェックする

 □下痢、嘔吐、発熱はなく、体調は良い
※体調が悪い時、下痢、嘔吐、発熱、腹痛などの症状がある場合は、食中毒かもしれないので、必ず責任者に連絡して指示を受けること。また、医療機関を早期に受診すること。
 □検便を提出する
※食品を取り扱う従業員は、感染の有無を確認するために、必ず検査を受けること。検査の結果が陽性の場合は、出勤を控え、責任者の指示に従うこと。
 

4.適切な身だしなみと衛生のポイント

異物混入や食中毒事件は、企業としての信頼を著しく損なうとともに、営業面でも大きな損失が発生します。予防対策として最も基本的かつ重要なのは徹底した衛生管理です。
 

○良い例

画像 【頭髪】
・清潔にしている
【マスク】
・清潔なものを、正しく着用する(鼻まで覆う)
【帽子】
・清潔なものを着用する ・髪の毛を帽子の中に入れる
【爪】
・短く切り、清潔にする
【使い捨て手袋】
・調理済食品や生のまま食べる食品などに触れる作業は必ず手袋を着用
・こまめに取り替える ・手荒れや傷のある場合は必ず着用する
【装飾品】
・指輪、時計、携帯電話、ピアス、イヤリング、ネックレスなど、
装飾品は身に着けない
【作業着】
・清潔なものを着用する ・汚れたらすぐ取り替える
・エプロンなどで手を拭かない
・ポケットに物を入れない(ポケットのない作業着が望ましい)
【履物】
・厨房や作業場専用のものを履く(げた箱も合わせて用意)
・清潔なものを履く
【香水】
・使用しない

 

×悪い例

画像 【マスク】
・汚れている(細菌汚染) ・ほつれがある(異物混入)
・アゴにマスクをかけている(細菌汚染)
【帽子】
・汚れが付着している(細菌汚染) ・ほつれがある(異物混入)
・帽子から毛髪がはみ出している(異物混入)
【爪】
・爪が伸びている(細菌汚染)(手のひら側から見て爪が見えないこと)
・マニキュア、つけ爪をしている(異物混入)
画像

【装飾品】
・時計や装飾品をしている(細菌汚染)
【履物】
・汚れている(細菌汚染) ・破れている(異物混入)
【体調】
・食中毒症状があるのに、食品を取り扱う作業をしている
(食中毒菌やウイルスを持ち込むことになります)

 
適切で衛生的な身だしなみ(上記イラスト参照)の指導のほか、事業所内の衛生管理、厨房点検等も実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。