消費科学研究所
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フッ素を使用しないはっ水剤

衣料・繊維製品

2025年9月12日

アウトドアウェアやレインウェアは雨天の中で着用することがあるため、高い防水性能が要求されるアイテムです。そして、防水性能の中でも、はっ水性(水を弾く性能)があると、水が内部に浸入しにくくなり、また、生地が濡れて重たくなることもないため、機能として追加されることが多いです。

最近、そのはっ水剤に使用される薬剤が変わってきているのをご存じでしょうか?

今回ははっ水剤の変化についてご紹介いたします。

<これまで使用されてきたフッ素系はっ水剤>

衣料品に使用されるはっ水剤には、いくつかの種類がありますが、フッ素系高分子を使用したフッ素系はっ水剤が広く使用されてきました。フッ素系はっ水剤は強いはっ水性やはつ油性、防汚性があり、また、通気性が損なわれることが少ないといった特徴があります。

<懸念されるフッ素系はっ水剤>

これまで多くの繊維製品のはっ水加工に使用されてきたフッ素系はっ水剤ですが、使用されている有機フッ素化合物(PFAS)には難分解性(環境中で自然分解しにくい)、高蓄積性(環境中や生物の体内に蓄積しやすい)、長距離移動性(空気や水を通じて遠くまで拡散する)といった性質があり、さらにPFASの一部は人体に発がん性等の悪影響や環境への負荷があると指摘されており、国内でも規制対象となっています(*1)。

(*1) PFASは10,000種以上ありますが、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)ではPFASのうち、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)の塩や関連物質が規制対象となっており、製造、輸入が禁止されています。

<フッ素フリーのはっ水剤使用へ>

フッ素系はっ水剤に対する懸念から、有機フッ素化合物を使用しないはっ水剤が開発され市場に出てきています。最近では、「PFASフリーはっ水剤」、「PFCフリーはっ水剤」、「C0タイプはっ水剤」等の名称が用いられています。はっ水剤メーカーでは従来のフッ素系はっ水剤と同様に優れたはっ水性を実現するために、さまざまな工夫を凝らして開発を行っているようです。

<はっ水性能(防水性能)を評価します>

このように環境配慮を意識した、新しいはっ水剤が出てきていますが、衣料品のメーカーとしては従来のはっ水剤と同等のはっ水性能があるかは気になるところです。

シャワーテストの様子

消費科学研究所では公定法であるJIS L 1092のはっ水度試験や公定法にない製品を使用したシャワーテストも可能です。

はっ水性(防水性)の評価をお考えの方はぜひ消費科学研究所にご相談ください。