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タオルなどの評価_表面のなめらかさを測定します!

衣料・繊維製品

2025年8月4日

こんにちは!今回は表面の「なめらかさ」を客観的に評価する KES-SESRU測定について解説します。これは職人や専門家の感覚的な「なでる」を機械で測定し、「数値化」して見える化する技術です。

KES-SESRU測定とは?

KES-SESRU測定は、「なめらかさ」や「ざらつき」などと表現される表面特性を数値で評価する方法です。従来の「触って感じる」といった主観的な評価を、精密な機械を使い客観的データに置き換えます。これにより、誰でも明確な基準で「なめらかさ」を比較することが可能になります。

測定を始める前に:官能評価

まずはサンプルを手に取り、指の感覚でなめらかさを評価する「官能評価」を行います。このステップは、大きな差が感じられない場合に測定を行うかどうかを判断するため重要です。官能評価で違いが明確でない場合、KES-SESRU測定でも有効な結果が得られない場合があります。

使用するセンサーの種類と条件

KES-SESRU測定では、サンプルの種類や質感に応じて、3種類のセンサーを使用します。

各センサーは特性や用途に応じて設計されており、測定条件(垂直荷重や速度)を調整して使用します。

  1. 標準摩擦子(ピアノワイヤ)

    サイズ: 10mm×10mm(正方形)
    用途: 織物や凹凸のない不織布の評価に適しています。
    垂直荷重: 25gfまたは50gf

  2. 楕円形摩擦子(タオル・肌着用)

    サイズ: 32mm×14mm(楕円形)
    用途: パイル生地やタオル生地など凹凸のあるサンプルに適しています。
    垂直荷重:35.3gf
    特長:安定した測定が可能

  3. 粗さ摩擦子

    サイズ: 0.5mmワイヤーを使用、接触面幅5mm
    用途: 軽い手触りの素材、エンボス加工された不織布などに適しています。
    垂直荷重: 5gfまたは10gf
    注意点: センサーが繊細なため、パイルがセンサーに絡まる場合や、高速条件(5mm/secや10mm/sec)では対応できないことがあります。

測定条件と調整可能な項目

移動距離:30mm(有効測定距離範囲 20mm)
移動速度:1mm/sec、5mm/sec、10mm/sec から選択可能
試料寸法:30mm×270mm(標準)*張力不要の場合は名刺サイズで測定も可能です。

結果として得られるデータと意味

KES-SESRU測定で得られる数値データには以下のような意味があります:

  1. MIU(平均摩擦係数):値が大きいほど、すべりにくい。
  2. MMD(平均摩擦係数の変動):値が大きいほど、なめらかさが低く、ざらつきが多い。
  3. SMD(表面粗さの平均偏差):値が大きいほど、表面の凹凸が大きい。

これらのデータを組み合わせることで、「触り心地」の良し悪しを客観的に比較できるようになります。

KES摩擦測定の対象アイテム例

  • 繊維: タオル、織地、編地
  • 合成樹脂: プラスチック製品、シート、フィルム
  • 不織布: 紙おむつ、生理用ナプキン、マスク
  • 紙: ティッシュ、コピー用紙
  • 糸: 紡績糸、フィラメント糸、加工糸など
  • 建築インテリア材: 石材、木材、タイル、フローリング
  • 液体: クリーム、リキッドファンデーション
  • 毛髪:シャンプー・トリートメント・ドライヤー・ヘアアイロンなどの評価、ウィッグ材など
  • 皮革・合成皮革: カーシート、バッグ

まとめ

KES-SESRU測定は、表面の「なめらかさ」を客観的に評価できる方法です。もしどのセンサーが適しているかわからない場合は、まずサンプルを送ってご相談いただくことをおすすめします。

「触り心地」を数値化して、品質管理・差別化にご活用ください!


関連リンク

(風合い測定)

(タオルの評価)