消費科学研究所
BLOG

衣服内環境を測定してみました!

衣料・繊維製品

2021年7月29日

私たちの生活に欠かせない「衣服」

 

「衣服」のありかたはさまざまで、
その場に適した「衣服」、作業がしやすい「衣服」、外敵や環境から身体をまもるための「衣服」、個性をアピールするための「衣服」など着用目的は人それぞれです。
しかしせっかく着用するのなら、快適に着用し仕事やプライベートを楽しみたいですよね。
では、衣服の着用においての「快適」とは一体なんでしょうか?

 

衣服の「快適」の一つの要因に「衣服内環境」というのがあります。
「衣服内環境」とは、人の肌と衣服との間の空間における環境(温度&湿度)を表します。
この環境は人の運動や緊張によって体温が上昇したり、人から発せられる水分の増加によって常に変化します。

 

ここでは、外気環境と運動による衣服内環境の変化について観察してみました。

 

実験内容は、夏の屋内でデスクワーク、屋外で歩行運動を想定し環境を作り、デスクワークでは椅子に座り安静状態、歩行運動ではトレッドミルで実際に歩いた際の衣服内温湿度の観察です。

 

【条件①:屋内を想定した環境/作業】
 ・環境;24℃×40%RH 
 ・過ごし方;オフィスチェアにて安静
 ・時間;15分間
【条件②:屋外を想定した環境/作業】
 ・環境;35℃×75%RH
 ・過ごし方;トレッドミル上にて時速5kmで歩行
 ・時間;15分間
【条件③:屋内を想定した環境/作業】
 ・環境;24℃×40%RH 
 ・過ごし方;オフィスチェアにて安静
 ・時間;20分間

 

【実験の流れ】
 条件①→条件②→条件③ この順に連続して行いました。

 

【服装】ショーツ、靴下、運動靴以外に以下の写真に示すスポーツタンクトップ、Tシャツ、ジョガーパンツ、パーカーを着用し実験に臨みました。

 

画像 画像 画像 画像

 

結果は・・・
下のグラフになりました。

 

画像
画像

 

運動を始めて直ぐに衣服内の温度&湿度は上昇し、2~3分経過後には衣服内温度は平衡状態を保ち、衣服内湿度において上昇はゆるやかになっています。

 

こちらの温度・湿度を「快適~全く不快」の指標にしてみると、下のグラフにようになりました。

 

画像

 

グラフより、運動中における衣服内の環境は、「全く不快」の状態であるため、被験者へのフィジカル&メンタル負荷は大きいと思われます。
さらにこの「全く不快」の状態は運動後、条件③の環境で安静にしていても暫く続きました。

 

実験の結果より
運動中の体温上昇や肌からの水分量をコントロールすることは難しいでしょうが、着衣の選択により衣服内環境をなるべく快適環境に近づけることは可能です。
それにより、運動パフォーマンスを上げたり、回復を早めることが期待できます。

 

運動負荷や外気を考慮し、重ね着の工夫や通気性のよい衣服の着用など
運動時に限らず、快適な衣服内環境を意識し着用してみてはいかがでしょうか。
また、素材の異なる着衣を選択して、どちらの方が同じ環境下で快適であったかを測定することも可能です。自社新商品と既存商品との比較や、他社商品との比較にも、衣服内環境を測定する試験は有効です。

 

こちらのセンサでは、
衣服内の環境以外にも、寝具の寝床内環境や眼鏡内側の水分量などの測定も可能です。

 

まずは、お気軽にご相談下さい。